目次
「小さい子どもがいるから合成洗剤をできるだけ使いたくない」
「洗剤で手荒れをしやすい」
「自宅にあるものでお掃除したい」
上記のように、排水口(排水溝)の清掃でお困りの人はいませんか?
キッチンや洗面台、お風呂場などの排水口のお掃除には、重曹&クエン酸がおすすめです。重曹もクエン酸を遣えば、排水口のヌメリや嫌なニオイを解消することができます。つまりがある場合も、程度によっては重曹とクエン酸で流れを良くできるかもしれません。
本記事では、排水口の掃除で重曹とクエン酸をどのように使うのか解説します。使用のメリットや注意点、排水口をキレイに保つ方法についても併せてみていきましょう。
ちなみに、「排水溝」は屋外にある排水用の溝で、シンクやお風呂場にある排水設備は「排水口」と表記します。
排水口が詰まる原因
排水口が詰まる原因は、排水口がある場所によって異なります。
キッチン:食べ物のカスや油カスが
洗面台・お風呂場:石鹸カスや髪の毛
洗濯機:衣類に付着していた砂や髪の毛、糸くず
一般的に排水口には、ゴミ受けやキャッチャーが付いていますが、網をすり抜けたゴミや油が配管の内壁に蓄積され、水の流れが悪くなります。一度流れが悪くなると、その汚れに引っかかる形でゴミが絡まり、最終的には排水口が詰まってしまうのです。
重曹とクエン酸で汚れが落ちる仕組み
それでは、「重曹」と「クエン酸」の組み合わせで、なぜ排水口の汚れを落とすことができるのでしょうか。
重曹とクエン酸を混ぜ、水をかけると中和反応が起きて二酸化炭素のガスを発生します。シュワシュワと泡が出ているところを目にしたことがある人も多いでしょう。この炭酸ガスが汚れを浮かせるため、汚れが落ちやすくなるのです。
ここで間違えないように覚えておきたいのが、重曹とクエン酸の中和反応は汚れを溶かしたり分解したりしているわけではないということです。頑固なこびりつき汚れやつまりを取り除くほどの洗浄力はないので、本格的に詰まってしまった排水口で重曹とクエン酸を使っても、問題は解消されません。
重曹とクエン酸が得意な汚れ
重曹は、弱アルカリ性の性質を持っています。そのため、キッチンやコンロ、換気扇、電子レンジなどに飛び散った油汚れを得意とします。少量の水を混ぜれば、ペースト状になるのでクレンザーのように使うこともできます。ただし、あくまでも弱アルカリ性なので、頑固な油汚れには向きません。そのほか、肉や魚、生ごみなどの消臭効果も期待できます。
クエン酸は、その名の通り酸性の性質を持つため、洗面台・お風呂場の水アカやカルシウム汚れを得意としています。こちらも汚れを分解して溶かしきるような強力さはないので、日常的な掃除での使用が基本です。
上記のことから、重曹・クエン酸の両方を使う場合でも、普段の掃除のなかで排水口のヌメリや嫌なニオイを取りたいときに使うのに適しているといえます。
クエン酸の代わりになるもの
クエン酸は自宅にある似たような性質を持つもので代用できます。
【クエン酸の代わりになるもの】 ●お酢 ●レモン汁 ●ミョウバン |
クエン酸は長時間浸け置きすると、クエン酸カルシウムに変化し、新たな汚れとなってしまいます。そのため、心配な場合は、お酢を使用するほうが安心です。
掃除に重曹とクエン酸を使用するメリット
重曹やクエン酸を普段の掃除に使用するのにはさまざまなメリットがあります。
まず、重曹もクエン酸も安価に手に入る点です。ホームセンターや100均で、手軽に入手できます。
また、重曹はベーキングパウダーに、クエン酸はジュースや梅干しに含まれる成分です。手で触れても手荒れしにくく、環境負荷も少ないことから、子どもがいる家庭でも安心して使えます。合成洗剤を使わないことから、「ナチュラルクリーニング」とも呼ばれています。
お財布に優しく、人への影響も少ないため、普段のお掃除には優秀なアイテムといえるでしょう。
重曹とクエン酸を使用するときの注意点
基本的には、健康への影響が比較的少ない重曹とクエン酸ですが、重曹とクエン酸を使った掃除には、いくつか注意点があります。
●作業時には換気を行う ●塩素系漂白剤は使用しない ●粉末の重曹・クエン酸は密閉できる容器で保管する |
1つずつ説明していきます。
作業時には換気を行う
重曹とクエン酸を使った掃除では二酸化炭素が発生します。二酸化炭素は少量であれば問題はありませんが、室内の二酸化炭素濃度が高くなると、頭痛やめまい、吐き気、倦怠感、息苦しさ、耳鳴りなどの症状が出てしまいます。
作業をするときは、必ず窓を開けるか換気扇を回すかして、空気の入れ替えを行いましょう。
塩素系漂白剤は使用しない
塩素系漂白剤は、クエン酸が混ざると人体に有毒なガスが発生します。クエン酸を使用する前後に、塩素系漂白剤を使った掃除をするのは控えてください。塩素系漂白剤を使いたい場合は、水アカやヌメリの掃除とは別日に行うことをおすすめします。
塩素系漂白剤の主成分は、次亜塩素酸ナトリウムです。次亜塩素酸ナトリウムは、漂白・脱臭、殺菌・消毒効果が高く、家庭用でも水回り用の洗剤として広く用いられています。具体的には、「カビ取り剤」「パイプクリーナー」「洗濯槽クリーナー」などに含まれます。
洗剤を使うときは、塩素系ではないかを必ずラベルで確認しましょう。
粉末の重曹・クエン酸は密閉できる容器で保管する
粉末の重曹とクエン酸は、いずれも湿気に弱く、そのまま放置していると水分を吸収して固まってしまいます。塊になってしまうと、掃除の際に使いにくくなるため、使いきれない場合は、密閉できる容器に入れて保管しましょう。
もとからジップ付きで売られている商品であれば、保管も簡単なのでおすすめです。
簡単に40度のお湯を作る方法
排水口の掃除では、40度程度のお湯を使うことで、水より効果的に汚れを落としやすくなります。しかし、温度計がない場合、「どうやって40度のお湯を作るの?」と困る人もいるでしょう。
実は、熱湯2に水道水3を加えれば、簡単に40度のお湯を作ることができます。たとえば、熱湯200mlに、水を300ml加えれば、おおよそ40度のお湯が500ml作れるのです。
【キッチン】重曹・クエン酸を使った排水口の掃除方法
それでは、重曹・クエン酸を使ったお掃除方法をみていきましょう。まずはヌメリや汚れが発生しやすいキッチンの排水口です。
1.部品を外して排水口に重曹を振りかける
2.クエン酸を溶かした40度のお湯をかける
3.10分ほど放置したらこすり洗いをする
キッチンの排水口は、食品や油によってべたつきや嫌なニオイが発生しやすいところです。重曹・クエン酸を使ってこまめに掃除をしておくことで、清潔な状態を保ちやすくなります。
今回は、排水口の掃除方法をお伝えしますが、三角コーナーやシンク全体、ゴミ受け、排水口カバーなども同様に重曹とクエン酸で掃除することができます。
キッチンは、毎日使う上、食べかすや油カスが多く流れるため、週に1回程度行うのがおすすめです。
準備するもの
●重曹 ●クエン酸 ●40度程度のお湯 ●ブラシまたは歯ブラシ ●スポンジ |
基本的に重曹とクエン酸は、1:1~2:1の割合で使います。カップやスプーンを使って、事前に測っておくとよいでしょう。
1.部品を外して洗う
まずは、ゴミ受けや排水口カバーを取り外して、中性洗剤で洗います。ゴミ受けや排水口カバーにも重曹・クエン酸を使えるので、排水口と同時に重曹・クエン酸を使ってもよいでしょう。
重曹・クエン酸を使う場合は、大さじ1程度の重曹を振りかけ、歯ブラシを使ってこすり洗いをします。クエン酸を溶かしたお湯をかけて、最後は水で洗い流しましょう。
2.排水口に重曹を振りかける
続いて、排水口内にカップ1の重曹を振り入れます。このとき、排水口内の内壁に重曹がまんべんなく付くようにしてください。汚れが目立つ箇所や、排水口の溝は集中的に振りかけておくとよいでしょう。
3.クエン酸を溶かした40度のお湯をかける
カップ1/2のクエン酸を、カップ1のお湯に溶かします。そして、重曹を振りかけた排水口にゆっくり注ぎましょう。重曹とクエン酸が反応して、シュワシュワと泡が発生します。
4.10分ほど放置したらこすり洗いをする
クエン酸を注ぎ入れたら、10分程度、長くて30分程度放置して汚れを浮かせましょう。放置後は、スポンジやブラシを使ってこすり洗いを行います。最後に水またはお湯で重曹・クエン酸と汚れを洗い流したら完了です。
上記の方法は、ヌメリやニオイ取りだけでなく、汚れを防止する方法としても活用できます。
【内部リンク】
『これだけ読めば大丈夫!【シンクの排水溝のつまりを徹底解説】』
【風呂場】重曹・クエン酸を使った排水口の掃除方法
続いて、お風呂場の排水口を掃除する方法を紹介します。
1.中性洗剤で排水口以外を洗う
2.排水口に重曹・クエン酸を振りかける
3.40度のお湯をゆっくりかける
4.10分ほど放置したらこすり洗いをする
重曹やクエン酸を使えば、お風呂場で気になる石鹸カスやヌメリ、ニオイなどを掃除することができます。一方で、髪の毛を溶かしたり、頑固なカビを漂白したりする力はありません。ヘアキャッチャーにゴミや髪の毛が溜まっている場合は、取り除いておきましょう。
お風呂場も毎日使うものなので、週に1回程度、重曹・クエン酸を使った掃除をしておくと、汚れの固着やニオイの発生を防ぐことができます。
準備するもの
●中性洗剤 ●重曹 ●クエン酸 ●ブラシまたは歯ブラシ ●ゴム手袋またはニトリル手袋 |
ゴム手袋は、天然ゴムに含まれるラテックスでアレルギーが出やすい素材なので、手荒れしやすい人はニトリル手袋を使用するとよいでしょう。使い捨てできるものが多く、汚れた手袋は捨ててしまえるので便利です。
1.中性洗剤で排水口以外を洗う
まずは、ヘアキャッチャーや排水口カバー、封水筒は、中性洗剤とブラシで洗います。お風呂掃除では漂白剤を使いたくなりますが、実はほとんどの汚れは中性洗剤とブラシ、お湯だけでキレイになります。
有毒ガスが発生しないよう、カビがあっても塩素系漂白剤の使用は控えましょう。
2.排水口に重曹・クエン酸を振りかける
続いて、排水口にカップ1の重曹とカップ1/2のクエン酸を、重曹→クエン酸の順で振りかけます。排水口の中だけでなく、周辺にも振りかけることで広く汚れを浮かせることができます。
3.40度のお湯をゆっくりかける
シャワーの温度を40度に設定して、重曹・クエン酸にゆっくりとかけます。水の量が多すぎると流れてしまうため、少量ずつかけるのがポイントです。心配な場合は、カップに汲んでからかけるとよいでしょう。
4.10分ほど放置したらこすり洗いをする
10分程度、長くても30分程度放置したら、ブラシでこすり洗いをします。細かいところが洗いにくい場合は、使い古しの歯ブラシを使用してもよいでしょう。
最後に、水またはお湯でしっかりと流したら完了です。
【内部リンク】
『お風呂の嫌な臭いの対処法を紹介!臭いが発生する原因や解決方法は?簡単掃除でお風呂の悪臭を取り除こう』
【洗面台】重曹・クエン酸を使った排水口の掃除方法
次は、洗面台の掃除方法です。
1.弱アルカリ性の洗剤で排水口以外を洗う
2.排水口に重曹・クエン酸を振りかける
3.40度のお湯をゆっくりかける
4.15分ほど放置したらこすり洗いをする
洗面台は、排水口が小さいので少量の重曹・クエン酸でキレイにできます。また、キッチンやお風呂場ほど汚れがたまりにくいので、2週間~1ヶ月に1回程度行うとよいでしょう。
準備するもの
●重曹 ●クエン酸 ●ブラシまたは歯ブラシ |
洗面台で使われているパーツや排水口には細かい凹凸があるので、使い古しの歯ブラシまたは歯ブラシと同サイズのブラシでないと、こすり洗いができません。
1.弱アルカリ性の洗剤で排水口以外を洗う
まずは、ヘアキャッチャーを外し、歯ブラシを使って汚れを落とします。弱アルカリ性の洗剤または重曹を溶かした水を使うと、ヌメリを取りやすくなります。
2.排水口に重曹・クエン酸を振りかける
続いて、重曹→クエン酸の順番で排水口に振りかけます。排水口が小さいので、重曹大さじ2~3、クエン酸大さじ1程度の量で構いません。
3.40度のお湯をゆっくりかける
40度のお湯を少量用意して、少しずつかけて発泡させます。流れてしまわないよう、注意しましょう。
4.15分ほど放置したらこすり洗いをする
10~15分ほど放置したら、歯ブラシを使って排水口をこすり洗いします。歯ブラシが排水管のなかに落ちると、自力では取れない可能性もあるため注意してください。
最後に水またはお湯でよく流したら完了です。
【内部リンク】
『洗面所つまりや臭いにおいの原因とは?対処法を教えます!』
【洗濯機】重曹・クエン酸を使った排水口の掃除方法
最後は、洗濯機の排水口を掃除する方法です。
1.排水口の蓋・排水トラップを取り外す
2.排水口に重曹・クエン酸を振りかける
3.40度のお湯をゆっくりかける
4.10分ほど放置したら水道水で洗い流す
洗濯機の排水口は、あまり掃除をしないという人も多いのではないでしょうか。掃除が不足していて、嫌なニオイが発生していることもあるため、重曹・クエン酸で汚れと一緒に取り除いておきましょう。
1ヶ月に1回程度の掃除がおすすめです。
準備するもの
●重曹 ●クエン酸 |
排水口に付いてる部品を洗う場合は、ブラシやスポンジ、中性洗剤を用意しておくとよいでしょう。
1.排水口の蓋・封水筒などの部品を取り外す
まずは、排水口の蓋や封水筒、エルボといった部品を取り除いておきます。汚れがある場合は、別途洗面台などで洗っておきましょう。
2.排水口に重曹・クエン酸を振りかける
排水口に、カップ1の重曹とカップ1/2のクエン酸を振りかけます。汚れがひどくない場合は、重曹・クエン酸の量を減らしても構いません。
3.40度のお湯をゆっくりかける
重曹とクエン酸の上から40度のお湯をカップ1杯分、ゆっくりかけて発泡させます。
4.10分ほど放置したら水道水で洗い流す
10分程度放置したら、水かお湯でしっかりと洗い流してください。最後に、取り外していた部品を取り付けて完了です。
排水口が詰まったとき重曹・クエン酸を使った対処法
排水口周辺の汚れが原因のつまりや軽度のつまりにであれば、重曹・クエン酸を用いて問題を解消できるかもしれません。
1.排水口に重曹を振りかけて15分ほど放置する
2.クエン酸を溶かしたお湯をゆっくりかける
3.10分たったら少量のお湯を流す
4.再度10分待って勢いよく水を流す
ただし、先述の通り、重曹・クエン酸には汚れを分解するほどのパワーはありません。そのため、下記の方法を試して排水口のつまりが解消されない場合は、排水管が完全に詰まっている可能性があります。
排水口のつまりを解消する専用の洗剤を使用して汚れを強力に分解するか、専門業者に依頼するようにしてください。
1.排水口に重曹を振りかけて15分ほど放置する
まず、蓋やヘアキャッチャーなどの部品を外し、大き目のゴミや汚れを取り除いておきます。
そして、排水口に普段の掃除のときよりも少したっぷりめの重曹を、まんべんなく振りかけてください。ここで、汚れに重曹が馴染むよう、15分ほど放置します。
2.クエン酸を溶かしたお湯をゆっくりかける
続いて、40度のお湯にクエン酸を溶かし、ゆっくりと重曹にかけます。
使用する重曹・クエン酸が多いと、それだけたくさんの二酸化炭素が発生します。あらかじめ換気をしながら行ってください。
3.10分たったら少量のお湯を流す
10分放置したら、今度は前回と同量のお湯をゆっくりと流し入れてください。ここでは、クエン酸の入っていない普通のお湯を使います。2段階に分けて流すことで、重曹とクエンが全体に行き渡りやすくなります。
4.再度10分待って勢いよく水を流す
再度10分間放置して、最後は勢いよく水またはお湯を流しましょう。十分に洗い流したら完了です。
排水口の臭い・つまりを防止するためには?
排水口の悪臭やつまりを防止するためには、定期的な掃除が1番です。重曹・クエン酸を使った掃除はもちろん、市販の合成洗剤や排水口・排水管クリーナーも使いながら、キレイな状態を保ちましょう。
また、面倒だからと固形の食べカスや髪の毛、油を排水口に流してしまうと、一見流れたように見えても排水管内で引っかかり、ニオイとつまりの原因となります。できるだけ排水管に固形物や油を流さないことも重要です。とくに、キッチンとお風呂場の排水口には、使い捨てのネットをかけて、細かなゴミまで取り除いておくとよいでしょう。
排水管内に汚れがたまり、固着してしまうと最終的には高圧洗浄機を使って取ることになります。油詰まりになると、高圧洗浄機を使っても取りにくく、流れる先がなくなった水が排水管を破壊し、漏水・水漏れにつながるリスクもあるため注意が必要です。
【内部リンク】
『排水溝から上がってくる水や異臭を防ぐためにできる対処法とは!?』
まとめ
重曹とクエン酸があれば、合成洗剤を使わなくても、排水口の汚れやニオイを除去することができます。重曹もクエン酸も食材に含まれる成分なので、小さい子どもがいる家庭や手肌が弱い人でも、普段使いしやすい掃除アイテムといえるでしょう。
ただし、重曹とクエン酸はいずれも、汚れを分解したり、強力に洗浄したりする効力は持っていません。排水管のつまりや逆流、根深いカビの除去には不向きです。あくまでも普段のお掃除やヌメリ・嫌なニオイの予防に対して使ってください。
排水管のつまりや逆流は、市販の排水口・排水管クリーナーでも除去できないことも多くあります。場合によっては、排水管が破損している可能性も考えられます。悪化する前に、水道修理業者に依頼したほうがよいでしょう。
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