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健康診断などでバリウム検査を受けたあと、トイレで排便した際に「流れない」「詰まった」というトラブルに遭遇してしまうことがあります。
バリウムは特殊な性質を持っているため、通常の便とは違って扱いに注意が必要です。
そのまま流そうとするとトイレの詰まりや故障につながることもあり、間違った対処はかえって状態を悪化させてしまいます。
この記事では、バリウムを含む便が流れにくい理由や、家庭でできる具体的な対処法、やってはいけないNG行動までをわかりやすく紹介します。
自宅トイレのトラブルを最小限に抑えるためにも、正しい知識を知っておきましょう。
バリウムを含む便が流れにくい理由3つ
バリウム検査後の排便がトイレで流れにくいのには、いくつかの原因があります。
- 冷えると固まってしまうため
- 通常の便よりも重量があるため
- 粘性があって便器に付着してしまうため
主に上がるこれらについて、順に解説していきます。
冷えると固まってしまうため
バリウム検査に使われる「硫酸バリウム」は、温かいときには水分を含んである程度の柔らかさを保っています。
しかし、体外に排出されたあとに冷たい空気や水に触れることで、急激に硬化する性質があります。
とくにトイレの水と混ざることでバリウムが沈殿し、粘土のようなかたまりに変化してしまうのが特徴です。
この状態になると、水に溶けたり崩れたりすることはなく、むしろ時間とともにさらに硬くなっていきます。
本来なら水とともに流れていくべき排泄物が、このように冷えて固まり、便器内で動かなくなることで、結果的にトイレの流れを妨げてしまうのです。
通常の便よりも重量があるため
バリウム検査で使われる造影剤には、「硫酸バリウム」という白い粉末が使われています。
硫酸バリウムは水に溶けにくく、成分そのものが非常に重たいのが特徴です。
検査後に排泄される便にはこの硫酸バリウムが多く含まれているため、通常の便に比べて全体的にずっしりとした重さになります。
この重さが原因で、トイレの水流だけでは便を持ち上げきれず、途中で止まってしまうことがあるのです。
特に節水型トイレのように水量や勢いが控えめなタイプでは、重さが原因で便がうまく押し流されず、便器内に残りやすくなってしまいます。
粘性があって便器に付着してしまうため
バリウムを含んだ排泄物は、水分が少なくねっとりとした質感になりやすいのが特徴です。この粘性が強いことで、便器の内側や排水口付近に張りつきやすくなります。
通常の便であれば水と一緒に自然と流れやすいのですが、バリウムを含む便は滑りが悪く、便器の曲面や水の流れが弱い部分にこびりついてしまいます。
そのまま放置すると、徐々に他の汚れと混ざって塊になり、さらに剥がれにくくなってしまいます。
この「こびりつき」が原因で便器内の水の流れが乱れたり、詰まりを誘発したりするケースも少なくありません。
バリウムがトイレでうまく流れてくれない時の対処法4選
バリウムを含む便がトイレで流れないときは、家庭でもできる対処法があります。
- トイレ掃除用のブラシで流し込む
- ラバーカップで流し込む
- ゴム手袋を装着して取り除く
- 40〜60℃のお湯で溶かしながら流す
それぞれの方法について、順に解説します。
トイレ掃除用のブラシで流し込む
バリウムを含む便が便器内に残っている場合は、まずトイレブラシでやさしく押し流す方法を試してみましょう。
固まりができていても、比較的やわらかい段階であれば、ブラシの力で水流に乗せて排水口へ誘導できます。
ポイントは以下の通りです。
- 毛の硬すぎないブラシを使う
→便器に傷をつけないよう、やわらかめの素材を選ぶ - 一気に押し込まず、少しずつ動かす
→無理に力を入れると逆に詰まるリスクがある - 水を流しながら作業する
→水の勢いでバリウムが流れやすくなり、効率がアップする
ブラシで押しても動かない場合は、無理に力を加えるのではなく、次の対処法に切り替えてください。
無理な作業は便器の破損や詰まりの悪化につながる可能性があるため、慎重に行いましょう。
ラバーカップで流し込む
便器の奥でバリウムが詰まってしまった場合には、ラバーカップ(いわゆるスッポン)を使う対処法もあります。
水と一緒に押し出すことで、バリウムの固まりを流しやすくできます。
ポイントは以下の通りです。
- 水が溜まっている状態で使用する
→カップの密着力が高まり、しっかりと圧力をかけられる - ゆっくり押し込み、勢いよく引くのがコツ
→力任せではなく、リズムよく圧力をかけて動かす - 数回繰り返しても改善しない場合は中断する
→無理に続けると便器を傷めたり、詰まりが悪化する恐れも
ラバーカップはしっかり使えば効果的な道具ですが、間違った使い方や無理な作業は逆効果です。
詰まりが解消しない場合は、無理をせず次の方法に切り替えましょう。
ゴム手袋を装着して取り除く
バリウムのかたまりが大きく、ブラシやラバーカップでも動かない場合は、直接手で取り除く方法もあります。
抵抗があるかもしれませんが、早期に対処すれば詰まりの悪化を防ぐことができます。
安全に行うためのポイントは以下の通りです。
- 厚手のゴム手袋を装着する
→薄手の手袋だと破れやすく、衛生面でも不安が残るため注意 - バケツに水を用意しておく
→一度取り出したバリウムのかたまりをすぐに処理できる - 便器内の汚れはあらかじめ除去しておく
→視認性を高め、作業をスムーズに行えるようにする
無理に便器の奥へ手を入れると、破損やケガのリスクがあるため注意が必要です。
届かない場合や抵抗が大きいと感じる場合は、無理せず次の手段に切り替えましょう。
40〜60℃のお湯で溶かしながら流す
バリウムの性質上、冷えると固まって流れにくくなりますが、ある程度の温度のお湯を使うことで再びやわらかくなり流れやすくなります。
ただし、注意すべき点も多いため、丁寧に進めることが大切です。
お湯を使う際のポイントは以下の通りです。
- 温度は40〜60℃を目安にする
→これ以上熱いお湯を使うと、便器の破損リスクがある - 少量ずつ何回かに分けて流す
→一気に注ぐと水位が上がり、あふれる危険があるため - お湯を入れたあとはしばらく時間を置く
→数分放置してから水を流すことで、効果を高められる
「高温のほうが効果がありそう」と思って熱湯を使ってしまうのはNGです。
陶器製の便器は急激な温度変化に弱く、ひび割れの原因にもなるため、温度管理には十分注意してください。
トイレでバリウムが流れない時にやってはいけないこと4点
焦って間違った対処をしてしまうと、便器の破損や詰まりの悪化につながるおそれがあります。
- 無理やり流そうとすること
- 高温のお湯を流してしまうこと
- 便器本体に傷が入るようなアイテムを利用しないこと
- 放置してしまうこと
やりがちなNG行動を、ひとつずつ解説していきます。
無理やり流そうとすること
詰まりに気づいたとき、レバーを何度も操作して一気に流そうとするのはNGです。
トイレの構造や水圧を無視した行動は、かえって事態を悪化させてしまいます。
【無理に流すことで起こるリスク】
- 水が逆流して床が汚れる
- 便器の中で詰まりがさらに奥へ移動する
- バリウムがかたまりになって完全に塞いでしまう
- 排水管への負担が大きくなり、トラブルが長引く
バリウムは通常の便よりも重くて粘性が高いため、水の勢いだけで流しきるのは難しいです。
何度も水を流すことで詰まりが排水路の奥に押し込まれ、家庭では手の届かない位置で詰まってしまうリスクもあります。
最悪の場合、便器の取り外しや専門業者への依頼が必要になるため、冷静に対処しましょう。
高温のお湯を流してしまうこと
「お湯ならバリウムも溶けるはず」と考えて、熱湯をそのまま注いでしまうのは非常に危険です。
便器の素材は熱に弱く、思わぬトラブルを引き起こす原因になります。
【高温のお湯を使うことで起こるリスク】
- 陶器製の便器がひび割れる
- 温度差で便器と配管の接合部がゆるむ
- コーティング加工が劣化して汚れが付きやすくなる
- 熱湯が跳ね返ってやけどの危険がある
トイレの多くは陶器製で、高温に耐えられるようには設計されていません。
とくに冬場など、便器が冷えているときに熱湯を注ぐと、急激な温度差でひび割れが起きることがあります。
バリウムをやわらかくするには40〜60℃程度のぬるま湯が適温で、熱すぎるお湯は逆効果になることを覚えておきましょう。
便器本体に傷が入るようなアイテムを利用すること
バリウムがこびりついていると、つい硬い棒や金属製の器具などを使ってこそぎ落としたくなるかもしれません。
しかしこれは、便器を傷つけてしまう原因になります。
【硬い道具を使うことで起こるリスク】
- 便器の表面に傷がついて汚れが付きやすくなる
- コーティングが剥がれ、水アカやカビが発生しやすくなる
- 強くこすりすぎて便器が欠けるおそれがある
- 傷に雑菌がたまり、不衛生な状態になってしまう
陶器の便器は見た目よりもデリケートです。
小さなキズでもその後の汚れや臭いの原因になりやすく、見た目にも清潔感が損なわれてしまいます。
力任せの掃除や、金属製の棒・マイナスドライバーなどの工具の使用は控えてください。
柔らかめのブラシやぬるま湯を併用して、できるだけ優しく対応するようにしましょう。
放置してしまうこと
バリウムが流れずに残っていても、「少し時間がたてば自然に流れるかも」と様子を見てしまうケースは少なくありません。
しかし放置は、状態を悪化させるだけでなく、便器全体へのダメージにもつながります。
【放置することで起こるリスク】
- バリウムがさらに固まって取りにくくなる
- 他の汚れや便が重なって詰まりやすくなる
- においや雑菌の繁殖が進む
- 長期放置でトイレ自体の使用が困難になる
バリウムは時間が経つほどに水分が抜けて石のように硬くなる性質があり、後になればなるほど除去が困難になります。
また、固まりの上に他の排泄物が重なると、単なる詰まりでは済まなくなり、専門業者による対応が必要になることもあります。
見つけた時点で早めに対応することで、余計なトラブルや費用の発生を防ぎましょう。
バリウムを含む便を詰まらせないようにするための工夫
トイレの詰まりを防ぐためには、あらかじめできる対策を知っておくことも大切です。
- 多めの水を飲んだり下剤を飲んで柔らかい状態でバリウムを排泄する
- トイレットペーパーを活用してバリウムが直接便器につかないようにする
- 便器ではなく携帯トイレなどで用を足す
バリウム検査後にできる工夫を、ひとつずつ見ていきましょう。
多めの水を飲んだり下剤を飲んで柔らかい状態でバリウムを排泄する
バリウムによる便の硬化や詰まりを防ぐには、体内にあるうちに排泄しやすい状態に整えておくことが基本です。
【検査後に意識したいこと】
- 検査後すぐに水を多めに飲む(目安:1〜1.5L程度)
- 指示があれば下剤を服用して排泄を促す
- 排便のタイミングを逃さず、できるだけ早めに出す
水分が不足していると、バリウムが腸内で固まってしまい、排出時には石のように硬い便になります。
そうなるとトイレで流れにくくなるだけでなく、便秘や腸閉塞など別の健康トラブルの引き金にもなりかねません。
検査後は「早めに出すこと」と「水分をしっかりとること」が、最大の予防策です。
トイレットペーパーを活用してバリウムが直接便器につかないようにする
バリウム便のこびりつきを防ぐために、便器に直接触れない工夫をしておくと、流れやすさがぐっと変わります。
【排便時のポイント】
- 排便前に便器の水たまり部分にトイレットペーパーを数枚敷く
- なるべく便が水面に触れないように工夫する
- 排便後は速やかに水を流し、紙ごと押し出すイメージで処理する
この方法はあくまで「流れやすくするための補助」として使うものなので、紙を敷きすぎて逆に詰まりの原因にならないよう注意も必要です。
また、紙が便器の奥で引っかかると別のトラブルに発展することもあるため、使用後は数回に分けて流すと安心です。
簡単なひと手間ですが、排便後の掃除がラクになったり、詰まりの予防にもつながるでしょう。
便器ではなく携帯トイレなどで用を足す
トイレの詰まりを確実に防ぎたい場合は、そもそもバリウム便を家庭の便器に流さないという選択もあります。
【携帯トイレの活用メリット】
- 便器にバリウムが付着しないため、掃除の手間が省ける
- 詰まりや水漏れのリスクをゼロにできる
- バリウムの処理が明確になり、衛生面でも安心できる
使い捨てタイプの携帯トイレであれば、便をそのまま袋ごと処分できるため、詰まりに悩むことはありません。
使用後は指定の方法で廃棄する必要がありますが、排水設備に負担をかけないため、安心して処理できます。
とくに水圧が弱いトイレや古い設備を使っている場合は、初めから携帯トイレを使用するほうが確実な対策になります。
水道屋本舗ならバリウムによる詰まりも解決できます!
バリウムが原因のトイレ詰まりは、通常の詰まりとは違います。
バリウムは固まりやすく、水では流れにくい性質があり、放置するとさらに状況が悪化するおそれもあるため、早めの対処が肝心です。
私たち水道屋本舗では、こうしたバリウム詰まりのご相談も対応しており、現場の状況に合わせた適切な作業を行っています。
全国対応・年中無休で受付しており、最短で当日中の対応が可能な場合もあります(※エリアや混雑状況による)。
「自分で対処するのが難しい」「便器の奥まで詰まってしまって流れない」など、お困りのことがあれば、まずはお気軽にご相談ください。
通話料は無料ですので、状況をお聞かせいただければ、どのような対応が必要かご案内いたします。
まとめ:便器内でのバリウムの詰まりは早めに対処しよう
バリウムを含む便がトイレで流れにくくなる原因には、「冷えて固まる」「重さがある」「粘性が高い」といった特徴が関係しています。
これらの性質を理解していないと、ついやってしまいがちな誤った対処によって、詰まりが悪化してしまうこともあります。
まずは自宅でできる対処法を試し、それでも改善しない場合には無理をせず、早めに専門業者に相談することが大切です。
とくに固まりが大きくなってしまった場合や、水がまったく引かなくなったときは、自力での解決が難しくなります。
バリウム検査を受けたあとは、事前にできる工夫を取り入れて、トイレのトラブルを未然に防ぎましょう。