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洗濯機の排水ホースは、普段あまり意識することのない部分ですが、実は定期的なメンテナンスが必要な部品です。多くの人にとって排水ホースは、引っ越しでもない限り取り外す機会はないでしょう。もし例外があるとすれば、洗濯機まわりで水漏れが発生したときくらいです。
しかし、その洗濯機まわりの水漏れの原因が、洗濯機本体ではなく排水ホースやその接続部分であることは少なくありません。排水ホースの劣化、内部の詰まり、そして排水ホース交換時の固定の失敗は、洗濯機周辺の水漏れのリスク要因となります。
そこで今回は、排水ホースの交換の目安やその方法、交換後のメンテナンス方法について解説します。
洗濯機の排水ホースを交換する目安
こまめな掃除を心がけていても、長年洗濯機を使っていると排水ホースの劣化は避けられません。
まずは、どのような状態が見られたら交換したほうがよいのかを確認します。
●水漏れが発生している ●排水ホースから悪臭がする ●使用開始から5年以上経過している |
排水ホースの交換の目安についてみていきましょう。
水漏れが発生している
排水ホースが破損している場合、洗濯機周辺に水漏れすることがあります。破損したホースは使えないので、すぐに交換しましょう。
排水ホースの主な素材は、塩化ビニルや樹脂などです。これらの素材は使用年数が長くなると、どうしても経年劣化してしまいます。また、ペットや小さい子どものいたずらによって、ホースが破損している場合もあります。
洗濯機を、「防水パン」と呼ばれる床への漏水を防ぐための受け皿の上に設置している場合は、多少の水漏れであれば気づきづらいため、発見までに時間がかかります。水漏れがひどくなる前に発見するためにも、ときどき防水パンの間をのぞき、水漏れがないか確認しておくとよいでしょう。
【内部リンク】
『洗濯機からの水漏れを防ぐ!防水パンの設置方法やメリット、デメリットについて徹底解説!』
『洗濯機から水漏れが発生!原因ややるべきこと、事前の対策方法について解説』
排水ホースから悪臭がする
排水ホースの内側は、洗濯機からの水と一緒に繊維クズや洗剤カス、髪の毛や水垢などがたまっている可能性があります。
とくに洗濯ホースを必要以上に長い状態で使用していた場合、カーブになっている部分に汚れがたまりやすくなります。また、内部にこびりついた汚れによってカビや細菌が発生し、臭いの元となっていることもあります。
排水ホースの掃除で悪臭が取れることもありますが、もし長年使っている洗濯機で、1度も排水ホースを掃除していない場合は、新しいものへの交換も検討しましょう。
【内部リンク】
『下水の匂いが上がってくる原因とは?対策やお掃除方法について解説!』
使用開始から5年以上経過している
洗濯機の排水ホースは、消耗品のため定期的な交換が必要です。使用年数が経つとともに、水垢やゴミなどがたまりやすくなってしまいます。ホースの内部が詰まって排水がスムーズにできなくなると、洗濯機本体の故障にもつながりかねません。
また、素材が塩化ビニルや樹脂なので、経年とともに劣化しやすく、ヒビが入ったり穴が開いたりすることもあります。
交換の目安としては、こまめに排水ホース内の掃除をしていたとしても5年程度です。もし掃除を行わないのであれば、2〜3年を目安に交換したほうがよいでしょう。
洗濯機の排水ホースを交換する前の下準備
ここからは、排水ホースを交換する前にどのような下準備が必要かを紹介します。
●洗濯機に合うホースを選ぶ ●排水ホースの固定方法を確認する ●洗濯機を脱水する ●コンセントを抜く ●蛇口を閉めておく |
作業をスムーズに行うため、準備の内容を詳しくみていきましょう。
洗濯機に合うホースを選ぶ
洗濯機のメーカーが販売している純正の排水ホースであれば、サイズが合わないというトラブルはほぼ発生しません。洗濯機のメーカー名と型番を控えて、家電量販店やホームセンター、もしくはネット通販で探す方法が確実です。
ただし、洗濯機の製造から年数が経っていると、部品も廃盤となっている可能性があります。その場合は、排水ホースの口径が同じ汎用品を選びましょう。
汎用品は長めに作られていることが多いため、取り付け前に調節が必要です。ハサミなどで簡単に切って調節ができます。長すぎるまま使用すると、たるんだり余計なねじれが発生し、排水がスムーズに行われなくなる可能性があるので注意しましょう。
排水ホースの固定方法を確認する
排水ホースには主に、下記の3種類の固定方法があります。
●ばね ●ネジ ●接着剤 |
ばねやネジなど、ホースクリップで固定されている排水ホースの場合は、比較的簡単に交換を行えます。しかし、接着剤での固定が必要な場合は、固定がしっかりできていないと水漏れなどの原因となります。そのため、接着剤を使った固定の場合は、なるべく専門の業者に依頼することをおすすめします。
この後、接着剤で固定されている場合の排水ホース交換方法についても紹介しますが、自身での対応が難しいと感じた時点で、専門の業者への依頼を検討しましょう。
洗濯機を脱水する
古い排水ホースを取り外すときに出てくる排水を減らすため、あらかじめ洗濯機の脱水をかけておきます。
それでも完全に排水がなくなるわけではありません。排水ホース交換の際には、万が一のためにタオルや雑巾を忘れずに用意し、あらかじめ周囲に敷いておくとよいでしょう。
コンセントを抜く
作業中の漏電や誤作動のリスクを無くすため、電源コードとアース線は抜いておきましょう。電源コードを抜いておけば、思わぬタイミングでボタン類に触れてしまっても、動作することはありません。
また、コンセントや電源コードに濡れたままの手で触れるのは非常に危険です。感電防止のためにも、水気を拭いてからコンセントを抜きましょう。
蛇口を閉めておく
排水ホースを外すために洗濯機を動かした際に、誤って給水ホースが外れてしまうことがあります。万が一外れても水浸しにならないように、作業前に蛇口を閉めておくと安全です。
さらに慎重に準備するのであれば、給水ホースも外しておくのもよいでしょう。洗濯機の蛇口は開けっ放しの状態なので、給水ホースが万が一外れてしまうと、水が噴き出して水浸しになるリスクがあります。
給水ホースを外す際には、水が噴き出してくるため、接続部分をタオルなどで覆い、それを上からつかんで外すとよいでしょう。
【ホースクリップがある場合】洗濯機の排水ホースの交換手順
それでは、ホースクリップを使って排水ホースを洗濯機本体に留めている場合の、ホースの交換方法を紹介します。
1.古い排水ホースを取り外す
2.新しい排水ホースの長さを調節する
3.新しい排水ホースを洗濯機に取り付ける
4.新しい排水ホースを排水エルボに取り付ける
交換の際に必要な物を確認してから手順をみていきましょう。
準備するもの
排水ホースを交換する際、必要な物は下記の5つです。
●新しい排水ホース ●ドライバー ●ハサミ ●ビニールテープ ●結束バンド |
純正の排水ホースはメーカーの公式オンラインショップなどで購入できます。ただし、洗濯機が10年以上前に製造されたものの場合は、排水ホースなどの備品が生産が終了している場合もあります。
1.古い排水ホースを取り外す
はじめに、ホースクリップを緩めて外します。ホースクリップがネジ式の場合は、ドライバーで緩めて取り外しましょう。先に洗濯機側を取り外し、ホース内に残った水を排水口に流してから、排水口側も取り外します。
排水口と排水ホースを繋ぐ部分にエルボ(L字型の部品)がある場合は、エルボごと外します。
固くて排水ホースが抜けなかったり、上手く取り外せなかったりした場合は、一旦外す作業を止めましょう。無理に作業を続けてしまうと、接続部分の部品を破損する恐れがあります。取り外すのが難しい場合は、専門の業者に依頼するほうが無難です。
2.新しい排水ホースの長さを調節する
メーカーの純正ホースの場合は、基本的には長さを調節する必要はありません。
メーカー純正ではないホースを使う場合には、取り外した古い純正ホースに合わせて長さを調節しましょう。切りすぎが心配な場合は、古い排水ホースより少しだけ長めに切っておき、後から微調整するとよいでしょう。
3.新しい排水ホースを洗濯機に取り付ける
ホースクリップを新しい排水ホースに付け替えてから、ホースを洗濯機本体に取り付けます。
この作業の際、クリップが緩いと水漏れの原因となります。クリップをしっかりと留め、不安な場合はさらに結束バンドも使用するとよいでしょう。
4.新しい排水ホースを排水エルボに取り付ける
洗濯機本体とは反対側の排水ホースを、エルボの奥までしっかりと差し込みます。差し込んだら、ホースクリップを留めます。さらに接続部分をビニールで巻き、その上から結束バンドで留めて水漏れを防ぎます。
排水ホースとつないだエルボを排水口に戻し、作業完了です。
【ホースクリップがない場合】洗濯機の排水ホースの交換手順
排水ホースにホースクリップが使われていない場合は、接着剤を使ってとめている可能性があります。続いては、ホースクリップがない場合の、排水ホースの交換方法を紹介します。
1.古い排水ホースを取り外す
2.残った接着剤を落とす
3.新しい排水ホースを接着剤で洗濯機本体に取り付ける
手順を順番にみていきましょう。
準備するもの
●新しい排水ホース ●ハサミ ●ドライバー ●接着剤 ●ドライヤー ● サンドペーパー |
接着剤は一般的な瞬間接着剤やボンドではなく、「塩ビ管用接着剤」を用意しましょう。家電量販店やホームセンター、もしくはネット通販などで、数百円で購入できます。
1.古い排水ホースを取り外す
古い排水ホースを取り外すには、ひねったり引っ張ったりする必要があります。それでもなかなか外れない場合は、接続部分にドライヤーの温風をあてて温めることで、外れやすくなることがあります。
こちらもホースクリップがある場合と同様に、上手く取り外せない場合は、一旦外す作業を止めましょう。力任せに作業してしまうと、排水ホース以外の部品まで破損する恐れがあるため、専門の業者に依頼を検討しましょう。
2.残った接着剤を落とす
洗濯機本体のホース接続部分に接着剤が残っている場合は、ドライヤーで温めて拭き取ります。もしドライヤーで温めても取り切れない部分があった場合は、サンドペーパーを使って削りましょう。
残った接着剤による段差は、新しい排水ホースを接続したときに隙間を生む可能性があります。洗濯機との接続部分はわずかな隙間も水漏れの原因となるため、可能な限り取り除きましょう。
3.新しい排水ホースを接着剤で洗濯機本体に取り付ける
新しい排水ホースの接続部分に接着剤を塗り、洗濯機本体に差込み、作業は完了です。使用する接着剤は、新しい排水ホースの素材を確認して選びましょう。また、接着剤が完全に乾くまでは、洗濯機を使用しないよう徹底してください。
接着剤で取り付けた後も、ホースクリップを購入して取り付けたり、代用品として結束バンドを使用することで、より強固な水漏れ対策を施すことができます。
排水ホースの交換時の注意点
排水ホースを交換する際に気を付けたい注意点を紹介します。
●排水ホースを排水配管にしっかり差し込む ●排水口が浅い場合はホースの先端がふさがらないようにする ●排水ホースのたるみ・折れが発生しにないようにする ●排水ホースが途中で持ち上がらないようにする |
排水ホースを正しく取り付けるため、ポイントを1つずつみていきましょう。
排水ホースを排水配管にしっかり差し込む
エルボ(排水口と排水ホースを繋ぐL字型の部品)がある場合には、その部分の奥までしっかりと差し込めば問題ありません。しかし、エルボがない設計の場合は、排水ホースの出口を排水配管まで差し込むようにしましょう。
排水ホースの出口が浮いていたり、配管から抜けたりすると、排水口からの水漏れを引き起こす可能性があります。洗濯機の振動や排水の勢いで抜けてこないよう、しっかりと差し込んでください。
排水口が浅い場合はホースの先端がふさがらないようにする
排水ホースは排水配管にしっかりと差し込む必要がありますが、その先端が排水口でふさがらないようにすることが大切です。
排水口が浅かったり、排水ホースを奥まで差し込み過ぎたりすると、排水口の底に排水ホースの先端がぶつかることがあります。その状態のまま使用すると、排水がスムーズにできなくなる可能性があります。
しっかりと差し込みつつ、底には当たらない場所をキープするよう設置しましょう。
排水ホースのたるみ・折れが発生しにないようにする
排水ホースに折れている部分があると、必然的に水の流れが悪くなります。また、髪の毛などのゴミもたまりやすくなるため、つまりの原因にもなり得ます。そのため、排水ホースを設置するときは、たるみ・折れが発生しないよう角度や長さの調整が必要です。
とくに純正品ではないホースは、長いものが多いため、そのまま使用するのではなく、適切な長さに切って使用しましょう。
排水ホースが途中で持ち上がらないようにする
排水ホースには、なるべく段差が生じないよう設置しましょう。とくに、ホースの途中で10cm以上の段差があると、ホース内の水の流れが悪くなることが考えられます。
洗濯機の使用中は勢いで流れるかもしれませんが、使用後には段差により水のたまる部分ができます。たまった排水は微生物やカビが繁殖する恐れがあるうえ、ゴミも蓄積されやすくなります。
可能な限りホースに段差のない設置をし、排水がスムーズにできる環境にしましょう。
洗濯機の排水ホースの正しいメンテナンス方法
新しく交換した排水ホースをきれいに長く使うためにも、こまめなメンテナンスを心がけたいものです。しかし、使っている洗濯機によってメンテナンスの方法が異なります。
ここからは、洗濯機本体から排水ホースが自分で外せない場合と外せる場合、両方のメンテナンス方法をお伝えします。
洗濯機本体から排水ホースが外せない場合
まずは、洗濯機本体から排水ホースが外せない場合です。
【必要なもの】 ●水 ●塩素系漂白剤 ●食品用ラップフィルム ●輪ゴム |
【手順】
1.洗濯機のコンセントを抜いて蛇口を閉める
2.排水口から排水ホースを抜く
3.抜いたホースの先端にラップでフタをし、輪ゴムで強く縛る
4.洗濯槽に塩素系漂白剤と水を入れ、排水ホースの中に水を溜める
5.漂白剤入りの水がホース内を移動するように排水ホースを揺らす
6.ラップを外し、汚水をバケツなどに出す
7.再度ラップをつけ、洗剤が入っていない水を洗濯槽から流し、ホースの中をすすぐ
8.ラップを外し、雑巾などで接続口を拭く
9.最後に排水口にホースを取り付けて完了
塩素系漂白剤を使用するときは、ゴム手袋または掃除用のニトリル手袋を着用しましょう。また、塩素系漂白剤は、大量に吸入すると人体に悪影響が出るため、必ず換気しながら作業してください。
塩素系漂白剤の代わりに、重曹とお酢を使う方法もあります。ただし、「塩素系漂白剤」と「重曹+お酢」は絶対に一緒に使わないでください。有毒ガスが発生する可能性があり、危険です。
洗濯機本体から排水ホースが外せる場合
続いて、洗濯機本体から排水ホースが外せる場合のメンテナンス方法です。
【必要なもの】 ●40度くらいのぬるま湯 ●重曹 ●ホースが入るサイズの容器 |
【手順】
1.ホースを洗濯機本体から外す
2.ホースが入るサイズの容器にぬるま湯と重曹を入れ、よく溶かす
3.重曹水の中にホースを入れ、1時間ほどつけ置く
4.ホースを水で洗い流い、表面の水気を取る
5.ホースを洗濯機本体に取付けて完了
重曹を使用したくない場合またはない場合には、50度ほどのお湯の中ですすぐだけでも、排水ホースの掃除になります。
排水ホースと一緒にメンテナンスしたいパーツ
排水ホースを外した際、周辺のパーツも一緒にメンテナンスすることで、より水漏れや臭気の発生しづらい状況を作ることができます。
部品によっては、業者を頼まないと外せないものもありますが、エルボや排水トラップが取り外し可能な場合は、排水ホースと一緒に重曹入りのぬるま湯につけおくとよいでしょう。取り外しができない部分は、可能な範囲で使わなくなった歯ブラシなどを使って磨くだけでも、汚れを軽減できます。
古いタイプの排水トラップは、工具を使わないと取り外せないものもあるため、無理に取り出さないよう注意してください。臭いなどが気になる場合は業者に依頼するのがおすすめです。
洗濯機の排水ホースを業者に依頼するときの費用目安
交換作業費用は、一般的に縦型洗濯機で6,000円~、ドラム式洗濯機で7,000~1万円がかかります。そのほか、交換部品(ホース)代と、業者によって基本料金・出張費用・時間割増料金などがプラスされます。トータルでは、ホースの交換だけで1~2万円程度となります。
この料金を見ると、排水ホースを自分で購入してきて交換したほうが安上りなように見えるでしょう。しかし、メーカーでは基本的に使用者自身での交換を推奨していません。また、洗濯機の機種によっては排水ホースの取り外しが容易ではなく、部分的に洗濯機本体の分解が必要な場合もあります。
ご自宅の洗濯機の排水ホース部分を確認したうえで、ご自分で作業するか判断してみてください。
まとめ
今回は、洗濯機の排水ホースについて、交換の目安や方法などをご紹介しました。
異臭や洗濯機本体の故障を防ぐためにも、排水ホースのメンテナンスはこまめに行ったほうがよいでしょう。お使いの洗濯機によって外せる部分が異なりますが、定期的なメンテナンスによって使える期間を延ばせるだけでなく、清潔に使い続けることができます。
排水ホースはメンテナンスも交換もせずに長年使用すると、経年劣化し、水漏れや排水の詰まりなどのトラブルの原因となります。仮にメンテナンスをしている場合でも、5年に1回は交換しましょう。
交換の際は、自分で行うことも可能です。ただし、排水ホースが洗濯機本体からなかなか外れないなど、自分での作業が難しいと感じた場合には、無理せず専門の業者の依頼も検討してみてください。
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